年間を通して異物を飲んでしまった!という事故は多いものです。
お薬で嘔吐を誘発させて(催吐)吐くことによって異物を取り出せる場合はそのように対処します。
聞くとかわいそうな処置ではありますが、多くの場合は薬によって誘発される悪心は一時的で適切な方法でその後のケアをしっかりすれば速やかに問題は解決されます。
嘔吐を誘発するお薬には様々ありますが、以前から海外薬では使用していた点眼薬で嘔吐を誘発できるお薬が国内発売となり手に入りやすくなりました。
選択肢が増えることは治療する側される側どちらにも大きなメリットになります。
また、吐かせることができない、あるいは嘔吐しても吐けない(出てこない)異物も数多くあります。その場合には、残念ながら外科的に摘出することはもちろんあるのですが、内視鏡を使用して消化管を手術で切ることなく低侵襲で摘出することを試みます。
今年当院で事故が多かった異物を振り返って多かった順にあげていきます。
犬の誤食
犬ではやはり若齢の子たちの異物誤食の事故が多い印象です。
1度食べてしまっている子は2−3度アクシデントでご来院されることも多いかと思います。1歳以内に何度か異物誤食・を経験している場合はご家族も対策を重ねているためか事故の回数は減るかもしれません。ぺっと
ペットシーツ
これは昔から頻度の多い誤食物になります。最近はペットシーツを覆えるトイレカバーを使う方も増えておりますし、一度事故を経験されご家族が対策を取れるケースも多いと考えます。
ペットシーツ自体は水を吸ってポリマーが重くなり量をたくさん摂取していると、吐きにくく内視鏡でも重くなったシーツが取り出しにくいケースがありました。ただ、この20年くらいで昔のペットシーツよりポリマーの部分が軽量化されているのか簡易的になっているのか、内部のポリマーの部分が軽く小さくなりやすく、過去のものより取り出しにくさが軽減した印象があります。
とは言え、とても異物として誤食頻度が多く身近なものなので注意が必要です。
動物用おもちゃ
おもちゃの一部が取れやすい形状や素材であった場合、そこをかじって外れてしまい誤って飲み込んでしまうケースがあります。皆様普段から注意されていますが、おうちの子が熱中して楽しんでいる時の破壊力やその破壊の速さは想像を超えることがあるのでしょう。また、おもちゃは通常お家に同じものがないケースもあり、破壊された後に中から飛び出た綿の量をみてもともとあった綿の量や、身体の一部(ぬいぐるみの耳や尾など)の大きさや厚み推測するのが容易ではないケースもあります。
人用の医薬品(人薬)・薬やサプリメント
ご家族の常備薬を飲んでしまったケースが多くあります。ご連絡をいただいた時になぜか外側(フィルム・外装)は食べていないというケースもあり、どうやって器用にお薬をだすのか不思議なことも多くあります。また、みなさんにお伝えすると驚かれますが人間と犬猫は同じお薬を使うことも多いために、犬にとって飲んでしまったお薬の量がどのくらい過剰な量なのかわかるケースもあります。一方、犬では全く使用されることがない人薬で副作用情報に乏しいお薬もあり調べるのに苦労することもあります。また飲んでしまった直後、あるいは飲んでしまったことに気がついてすぐであっても、お薬は吸収されやすいように作られていることが多いため多くは胃内で吸収されてしまっているだろうことが多いと考えます。その後に起こりうる薬の副作用を予測して先回りに対応できるものなのか、あるいはできなくてもその子を観察していくことが必要になる、どのくらいの期間の観察が必要かなど短時間の間に考え対応する必要があります。
欄外とは言え多くご来院する誤食対象物
1歳未満や1歳くらいの子は床のフロアマットや充電のコード、人の服の端っこの付属品が多い印象です。
アダルトになると行動範囲が広がるせいかテーブルの上にあったお菓子や食卓に用意してあった食事などが増えてくる印象があります。
今年の夏はなぜか例年よりとうもろこしの芯の誤食に多く遭遇しました。わざとあげてしまった方もいらっしゃいました。芯を折って小さくしてあげていたのですが、その後嘔吐してご来院されました。内視鏡で胃から取り出せても、最後の最後にに喉を通らないなんてことも。飲み込んだのに本当に不思議ですがそのようなケースもあります。
私たちが防げる事故は防いであげたいですね
次回は猫さんで多い誤食について触れてみようと思います。
当院は早朝7時から(日曜・祝日は9時〜)完全予約制で診療を行なっています。
渋谷区代々木上原駅、代々木公園駅から徒歩でご来院いただける動物病院です。
循環器科、内科、外科、皮膚科、眼科をはじめ幅広く対応しております。特に循環器、心疾患に対しては治療経験が豊富です。
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心疾患を含め各種セカンドオピニオンにも対応しております。(これまでの検査結果や治療内容をお持ちください。)