猫は脱水しやすい?

猫のオーナー様に診察中によくご相談される内容の1つに飲む水についてのご相談がよくあります。

  • 全然水を飲まない
  • 水道から流れる水が好きでお皿の水は飲まない
  • 冷たい水は好きじゃなくて暖かい水しか飲まない
  • お風呂の床の水ばかりのんでお皿から飲まない
  • お皿の水では手を入れて遊んでしまって床に落ちたのを飲む、結局飲んでない
  • 動物病院での尿検査で尿が濃い=水を飲んでいないのでは、と指摘されることが多い

とにかく飲水でのお困りごとが多いです

実際に犬と猫が一緒にお家にいる方はわかりやすいのですが、猫が水をしっかり飲んでいるという行為を見ないことが多いと思います。

なぜ水をスムーズに飲んでくれないの?水を飲まないことによる身体へのリスクは?対策は?

お皿からしっかり飲まないの子の理由は様々ありますが、一般的に言われていることとして
猫科の習性が原因と言われています

もともと水がすくない砂漠の動物だから水を一気に飲む習慣がない

肉食で獲物のお肉から水分がとれるため水を別に飲む必要がない

脱水に強い体となっているため喉が渇くという感覚が出にくい

水を飲んでいる時に肉食獣に襲われるため警戒して少しずつ飲む

飲んでいるけど、1回の舌で飲み込める水が少ない 


現在お家で暮らしている子たちにもこの理論が当てはまるのかは証明しずらいのですが、オーナーのお悩みや腎臓病が多いことから上記の見解は一般的になってきています。

一回に飲める水の量が少ないというのは証明されています。

猫の一舐めで水は0.15ml程度(小さじが5ml)、 1秒で4舐めくらいという報告があります。
もし、10秒間飲んでいれば6mlとなり小さじ1杯ちょっとの量です。
猫が1日に必要な水分は1kgあたり50ml なので、4kgの猫でコップ1杯必要です。
(注:フードに含まれる量を合わせた量)
飲水量と1日に必要な水の量でだいぶ解離があります。

では

飲水量が少なくて脱水気味の場合のリスクは?

  • 膀胱炎、尿結石になりやすい 一般的に濃い尿より薄い方がこのような疾患になりにくいとされています。
  • 腎臓病:脱水が続くと腎臓に負担がかかります。
  • 歯周病の悪化:唾液が薄まることで歯周病の軽減があると言われています。

猫には水を飲ませた方が良いということはわかりました
水分をとってもらうにはどんな対策には何があるでしょうか

  • 水の置き場を変えてみる、数を増やす:頭数より1−2つ多くしてください。
    猫はフードを食べる時に水を飲む習慣がないため水皿はフード皿と別の場所の方が良いという見解もあります。
  • 水皿の工夫をしてみてください:ヒゲがつかない大きめのお皿が好きな子、ステンレス で光っているのが嫌。水が流れる給水器も市販でありますね
  • 水の温度を変えてみてください:ぬるい方が良い子、冷たい子が良い子がいます
  • ドライフード だけではなくウェットフードをうまく使ってみてください:ドライの方が歯垢がつきにくい、しっかりカロリーが取れるといういい面もありますが、水分量は断然ウェットフードが多いですので、どちらも利用して水分を取れるようにしてみてはどうでしょうか。
  • 水分摂取ができる補助食品をうまく使う:下の写真のように水分がしっかりとれるように味をつけた水分補完商品があります。好みは別れますが好きな子も多いです。動物病院で相談してみてくださいね。

猫用 写真はPurina(ピュリナ)のHydra CareⓇ(ハイドラケア)
1日あたり平均50%水分を多く摂取できるデータが出ているそうです。ミネラルを含んでいるそうです。
 

犬猫用 イースター Vet’s Selectionの犬猫用脱水ケア・ゲルⓇ 8袋入り
ゲル状の飲料水です。1本あたり14mlの水分が取れます。脱水で失われがちなビタミンを含んでいるそうです。

水の注意点として美味しい水として売られるウォーターサーバーの水の成分にはミネラルが多めなお水もあります。しかし、ミネラルが多いと尿路に石ができてしまうリスクがあり、水道水、軟水が良いです。もしカルキが苦手なようであれば水道水を浄水したものがありますね。反対に浄水をしない水道水のほうがよく飲む子もいます。

猫の習性から起こる水問題、病気を未然に防ぎ長生きしてもらいたいですね。
少しの工夫で飲んでくれることもあるようです。
お困りのことがあればご相談くださいね。

参考文献
Pedro M. Reis et al. ScienceNew Series, 2010,Vol. 330, . 1231-1234
purina HP (https://nestle.jp/brand/purina/proplanveterinarydiets/product/cat/hydra-care)




この記事を書いた人

巡 夏子

大学卒業後、北海道の中核病院で内科や外科診療に携わった後、関東の夜間救急病院で勤務しながら大学病院や2次診療施設で循環器診療を習得。その後、2つの一般病院で診療部長や副院長として診療にあたる。2023年、渋谷区元代々木町に「めぐり動物病院 元代々木」を開院する。