貧血の影響

以前の回でご紹介した貧血身体への影響についてご紹介します。

犬も猫もいろいろな疾患が原因でおこる貧血。
症状は急性貧血なのか、慢性貧血なのかによって違います。急性だと失神を起こしますし、ゆっくりでも重度な貧血になるとふらついたり疲れやすいという症状が出ます。

しかし、そのような症状だけではなく身体のなかで大きな影響がでます。
時としてそれが原疾患の治療の妨げになり、治療の副反応が出やすくなったりするのです。


貧血の影響で心不全になり、それは高心拍出性心不全と呼ばれるものです。 
一般的に慢性の貧血の時に多く認められ、貧血が中程度から重度になってくると起こります。

貧血により組織の酸素が足りなくなることで体の細かい末梢血管が広がる、血管の中のボリュームが増える、心臓が頑張って血液を送るなどの状態が顕著になり、身体の体液が多くなり余分なところに体液が溜まってしまう状態です。

余分なところに体液が溜まると肺鬱血(肺水腫)胸水心膜水となり、呼吸が苦しくなります。

猫の胸部X線写真:真ん中の白い陰影が心臓です。心臓がきれいに見えています。
猫の胸部X線写真:胸に胸水が溜まって白くみえるため、心臓の陰影と重なって心臓陰影が見えずらくなっています


心臓はもともと悪くないのに貧血のせいで心不全になるということです。

例えば腎臓病があって脱水しているから点滴をするケースがあります。もし貧血があれば、点滴を繰り返すと体液が余分となり前述したように胸水が溜まって苦しくなるという怖い自体になります。
かつ、慢性の腎臓病では貧血は高頻度で起こります。

定期的に貧血の度合いをチェックをし、一定の基準値より悪化した場合は増血剤で貧血を改善させながら(病気の種類によっては輸血)普段の治療をしないと、治療によって苦しくなってしまいますし治療が制限されます。


慢性貧血では貧血の症状が出にくいので症状では気がつけませんが、定期的な検査で安心して治療ができます。
貧血原因の精査、治療、定期検査という流れが大事です。
お困りのことがあればお気軽にご質問くださいね。

この記事を書いた人

巡 夏子

大学卒業後、北海道の中核病院で内科や外科診療に携わった後、関東の夜間救急病院で勤務しながら大学病院や2次診療施設で循環器診療を習得。その後、2つの一般病院で診療部長や副院長として診療にあたる。2023年、渋谷区元代々木町に「めぐり動物病院 元代々木」を開院する。