猫の食物アレルギー

前回、犬の食物アレルギーについてご紹介しましたが、実は犬よりも猫の方が食物アレルギーは多いと言われています。今回は、猫の食物アレルギーについて、どんな症状が出て、どんな治療法があるのかご紹介していきます。

【症状】

 猫の食物アレルギーの好発年齢は平均4〜5歳とされていますが、実際は若齢から高齢猫までさまざまな年齢で起こる可能性があります。

 皮膚の症状も食物アレルギーに特異的なものはなく、お腹の毛が脱毛してしまったり(外傷性脱毛)、プツプツとした発疹ができたり(粟粒性皮膚炎)、さまざまな症状として現れます。その中でも特に猫の食物アレルギーで特徴的なのは顔面や首、耳あたりに強い痒みが引き起こされやすい、ということです。中には血が出てしまうまで掻き壊す猫ちゃんもいるので、そのくらい強い痒みを示している場合には、食物アレルギーの可能性を疑います。また、嘔吐や下痢など消化器症状を示す場合もあります。

【検査】

食物アレルギーの診断のためのゴールドスタンダードは、「除去食試験」と「負荷試験」です。血液検査でもアレルギー検査と謳うものはありますが、100%の確定診断はできないため、あくまでも補助的に使うことが推奨されています。

 次回の記事で、猫ちゃんの除去食試験のコツをご紹介しますので、ぜひそちらもご覧ください。

【治療】

食物アレルギーと診断さえされれば、その原因となるアレルゲンを摂取しないことが一番の治療になります。ただし、食べられる食材を増やしてあげることも、ご家族と猫ちゃんにとっては大切なことです。そのため、除去食試験で終わりにせず、負荷試験で食べられる食材をチェックしていくことも、重要だと考えています。

 なかなか治らない皮膚の痒みや発疹でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事を書いた人

獣医皮膚科認定医 門岡友子

この度「めぐり動物病院 元代々木」にて皮膚科専門診療を任されることとなりました。
皮膚疾患は動物病院への来院理由でも常にトップ3に入る疾患です。
また、アレルギーや感染症、免疫介在性疾患、腫瘍など、原因が多岐に渡るのも皮膚疾患の特徴です。
そのため、皮膚疾患の原因を一つ一つ丁寧に紐解き適切な診断を行い、ご家族に寄り添った治療を提案してまいります。
ワンちゃんネコちゃんの皮膚疾患にお困りの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

経歴
・麻布大学獣医学部 卒業
・Vet Derm Tokyo 皮膚科第1期研修医
・ヤマザキ動物看護専門職短期大学 非常勤講師
・日本小動物ケースベースド情報ネットワーク(JCABIN)皮膚科担当講師