フィラリア 

フィラリアの予防の季節です。
少なくとも4月末から5月始めまでには予防を開始しましょう。
東京近郊は4月末から12月末までが予防期間になります。


フィラリアという寄生虫は犬を飼ったことがある方であれば知らない方はいないと思いますが、蚊に刺されて感染すること、春から夏、冬の前まで予防薬を飲むこと以外は知られていないことも多い印象です。

意外と知られていないフィラリアについて簡単にご紹介します。

Q フィラリアはどうやって感染するのか?

蚊がフィラリア感染動物の血を吸うとミクロフィラリアが蚊に入る。
蚊の中にいるミクロフィラリアが1−2週間かけて感染する幼虫に変化し、その蚊が動物の吸血をした時に幼虫が犬や猫の体内に入り感染します。

Q 感染後に症状はいつでるのか?

虫が体に入ってもすぐに症状は出ません
皮膚に幼虫が入ってから体の中を成長しながら移動して心臓や肺、肺動脈へ。肺動脈で子供を産む成虫に育つため、感染が成立するのが6−7ヶ月、少なくとも症状がでるには1年程度かかることが多いです。成虫になったフィラリアがいないと犬は症状が出ないため気が付かずにフィラリアが増えてしまいます

Q フィラリア検査は何を見ている?

血液検査で雌の成虫が出すタンパク(抗原)を検出しています。蚊に刺されてフィラリアが体にはいってから一番早くて6ヶ月後からタンパクが出ます。それまでは感染していてもフィラリア検査では陽性が確認できません。雄の成虫に感染していても、雌の成虫がいない場合も検査で見つけられません。
また、雌が産むミクロフィラリアも感染後、最短で6ヶ月たってから血液検査で確認できることから、予防薬を飲ませ忘れてしまった場合にすぐに検査をしてもフィラリアの感染の有無は確認できません。

Q なぜ予防薬を開始する前にフィラリア検査をするの?

フィラリア予防薬は、感染したあと成長した幼虫に効くお薬です。体に虫が入ってから50〜70日以上経つと予防薬が効かない虫になります。すなわち、飲み忘れて1ヶ月以上たつと感染してしまう可能性があります。繰り返しますが、予防薬はすでに感染している虫に効果があるものなのです。

  • 万が一フィラリア感染していても成虫になってしまったフィラリアは予防薬で退治できないためにフィラリアがそのまま居続けることになります。
  • 成虫がミクロフィラリアを産んでいた場合は、予防薬によってミクロフィラリアが犬の体のなかで大量に死滅し死滅した虫が大量に血管に詰まって悪くすると急死することが知られています。

通年予防(12ヶ月ずっと予防薬を飲み続ける)ではない場合、感染の可能性がゼロではないため検査をしてフィラリア成虫がいないのを確認することが必要です。


昔はフィラリア症で症状を出して結果的に亡くなる犬が多かったのですが、今はフィラリア症が減っています。
予防をしている犬が増えたことが一番の要因です。
また、災害(震災など)で予防薬が飲めない犬が増えるとその地域のフィラリア症の犬が増えました。
今は減っているとはいえ、決してなくならない病気です。
フィラリア症は一度感染すると完治が難しく治療を始めても後遺症(肺高血圧症や咳)によって辛い症状が続きます。

予防薬は忘れずに飲ませる。
飲ませ始めには必ず血液検査で陰性を確認する。
これらを守って予防しましょう。

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この記事を書いた人

巡 夏子

大学卒業後、北海道の中核病院で内科や外科診療に携わった後、関東の夜間救急病院で勤務しながら大学病院や2次診療施設で循環器診療を習得。その後、2つの一般病院で診療部長や副院長として診療にあたる。2023年、渋谷区元代々木町に「めぐり動物病院 元代々木」を開院する。