しこり

先日診療後に犬猫しこり委員会という勉強会に参加しました。
しこりとはできものとも呼ばれますが、体にできる腫瘤(しゅりゅう)のことです。
体表や身体の中にもでき、一般的に腫瘤は”腫瘍(良性、悪性)”と“それ以外”にわかれます。それ以外は過形成や炎症性構造物です。

体表のしこりについてお話しすると、オーナーが気がついて来院されるケースと獣医師が診察中に偶発的に見つけるケースがありますね。見た目で8-9割くらい診断がつくしこりもありますが多くのしこりは検査をして診断がつきます。

しこりの診断】

  1. 視診で大きさ、色、毛があるかないか、触診で硬さ、固着の有無(しこりの上部、底部、側面との境目が触れるか)を確認します。
  2. 細胞診:細胞を顕微鏡で見る検査です。細い針でしこりを刺し、採れてきた少量の内容物をスライドガラスという薄い板に伸ばし専用の染色をして細胞を見ます。確定診断とまではいきいませんが、その後の治療のために多くの情報が得られます。診断の精度は取れた内容物の量に左右されます。しこりの種類で内容物の採れやすさが違います。
  3. 組織検査 しこりの一部あるいは全部を切除してホルマリンで固定し専用の方法で薄い材料を作って病理医がそれを顕微鏡で見て診断します。診断精度が高く、ほぼ確定診断になることが多いです。診断の精度は取れた材料の大きさなどに左右され、小さいと診断が難しいこともあります。

    1、2は診察中に即座に行えます。3は外科処置なので多くの場合、鎮静、局所麻酔あるいは全身麻酔で痛みが出ないように処置します。2でも検査時に激しく動いてしまったり、目元や口元など動いてしまうと針が刺さって危険を伴う場合にできたしこりに対しては鎮静や麻酔が必要になるケースもあります。診断と治療を兼ねて3を行うこともあります。

    しこりを診断する意義はしこりの種類がわかることにより予後(今後どんな経過を辿るのか)が予測でき、治療の選択肢を選べる点です。様子を見ましょうといったような経過観察ができるのか、様子をみると良くないのか判断できます。
    しこりの治療の多くは外科切除になりますが、その切除をどのくらいの範囲で切除すべきか、他の臓器をチェックすべきかの判断材料にもなります。

参加した犬猫しこり委員会では、教科書通りの治療法ひとつとってもどのように患者様にご説明したらいいのか、また、各病院で行っている外科的コツやポイントについて議論がつきない会になりました。また、画像専門や病理専門先生も参加されていたので違った側面からも考えることができて勉強になりました。

一般的に急速増大(急激に大きくなる)するしこりは悪性の可能性が高まります。

いつも家の子をよく触っている患者さんは数ミリのしこりでも見つけて来院されます。
早期に見つけることができると急速増大してあっという間に悪化…という心配は減りますので、スキンシップの一環で優しくいろいろな場所を触ってあげてくださいね。

この記事を書いた人

巡 夏子

大学卒業後、北海道の中核病院で内科や外科診療に携わった後、関東の夜間救急病院で勤務しながら大学病院や2次診療施設で循環器診療を習得。その後、2つの一般病院で診療部長や副院長として診療にあたる。2023年、渋谷区元代々木町に「めぐり動物病院 元代々木」を開院する。