セカンドオピニオン CASE  

セカンドオピニオンとは納得いく治療を受けるため、主治医とは違う獣医師(医者)に意見を求めることです。
どんなセカンドオピニオンのご相談があるか、病気などの紹介をかねてご紹介します。

猫 MIX 3歳 男の子  

          注 イメージ写真です

ホームドクターで行った健康診断の血液検査で血液中のカルシウム(Ca)値が高く(高カルシウム血症)、精査のため大学病院を勧められ大学病院で診察を受けた後、さらにセカンドオピニオンを希望されて当院を受診されました。
骨格がしっかりで凛々しく、診察室でも堂々としていい子さんでした。
見るからに元気そうです。


大学病院で精査を受けたオーナーさんが言われたことをまとめると


血液検査で確かにカルシウムの値が高いけど、他の数値や画像検査の結果、大きな病気はなかったので良かったですね。治療もこれといって特にないし、そもそもあまり身体に悪いほど高くないから様子をみてください。
定期的な検診はしっかりかかりつけの先生で続けてくださいね。



問題がないし治療もしなくていいということですが、オーナー様は本当に問題ないのか、何か治療法はないのかと心配になってしまって当院にセカンドオピニオンにいらっしゃいました。ホームドクターでは大学病院で言われたことに従いましょうという意見だったそうです。

ちなみに、高カルシウムの原因で一番質問があるのは、カルシウムを取りすぎて高カルシウムになっているかどうかですが、カルシウムは多めに摂取したとしても身体に調節機構があるので、カルシウムの取りすぎが原因ということは考えにくいです(カルシウムのとりすぎは他のリスクが出るので良いことではありません)

【血液検査で高カルシウム血症の時の考え手順】

1、本当に高カルシウム血症なのかを確認する
血液中のカルシウムには種類があり測定法が異なります。イオン化カルシウムというものを測定して評価する必要があり、かつ、期間をおいて再度測定し、持続的に高値なのかを確認する。

2、高カルシウムの背景に病気以外の要因はないのか?
実はビタミンDを過剰摂取しているとカルシウムが高くなるため、ビタミンDが入ったサプリを飲ませていないか?ビタミンD含有の軟膏を使用していないか?
また、高脂血症の血液ではカルシウムが実際より高値になってしまいます。採取した血液のコレステロールが高くないかチェックをします。

上記がクリアされて、本当に高カルシウムだった場合はどんな病気が考えられるか
 
【高カルシウムの背景には】
3上皮小体亢進症、4副腎皮質機能低下症(アジソン)、5一部の腫瘍、6骨が溶ける病気、7肉芽腫(主に真菌が原因で出来るできもの、稀に自己免疫疾患でできる)が体内にある、5慢性腎臓病
また、上記に加え猫は6特発性、といって原因となる病気がないことがあります。

他の血液の数値、画像検査を追加して上記の病気を消します。
症状、年齢、追加検査で簡単に消せるものもありますが、7の肉芽腫はごく小さいうちは見つからない事もあるとされており、完全に無いことを証明するのは難しいとされています。ただ、猫ではかなり珍しいので可能性は低いでしょう。

実際に猫の高カルシウム血症の原因として多いトップ3は特発性、腫瘍、慢性腎臓病です。

当院の来院時は、大学病院で行った検査から3ヶ月ほど経っていたので、月日を置いて再度チェックした方が良い検査を実施し、特発性の高カルシウム血症の可能性が一番高いと考えました。
(おそらくですが)大学病院と同じ見解ということです。

大学病院と同じ見解で終わり?

治療は?症状がないとのことだけど、高カルシウムって辛い症状が出たりしないの?

続きを次回ご紹介させていただきます。

参考:Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Edition

この記事を書いた人

巡 夏子

大学卒業後、北海道の中核病院で内科や外科診療に携わった後、関東の夜間救急病院で勤務しながら大学病院や2次診療施設で循環器診療を習得。その後、2つの一般病院で診療部長や副院長として診療にあたる。2023年、渋谷区元代々木町に「めぐり動物病院 元代々木」を開院する。