犬の食物アレルギー

犬の食物アレルギーは、アトピー性皮膚炎と同じように、体の痒みや皮膚炎を起こします。また、それだけではなく、最後の方の便がゆるかったり吐きやすかったり消化器症状を併発することが多いのも特徴です。

【症状】

犬の食物アレルギーは、1歳未満の若齢から、6歳以上の中高齢犬まで、様々な年齢で発症します。アトピー性皮膚炎をもっている犬では食物アレルギーも併発していることが多いです。ただし、食物アレルギーの場合は、毎日アレルゲンとなる食材を摂取しているため、アトピー性皮膚炎と違って症状に季節性はありません

食物アレルギーでは、体の痒みや皮膚炎を引き起こします。また、外耳炎や再発性の膿皮症が見られることもあります。消化器症状としては、下痢や軟便、嘔吐のほかに、便の回数増加も特徴として挙げられます。

【検査】

食物アレルギーの診断のためのゴールドスタンダードは、「除去食試験」「負荷試験」です。血液検査でもアレルギー検査と謳うものはありますが、100%の確定診断はできないため、あくまでも補助的に使うことが推奨されています。

除去食試験とは、今まで与えたことのない食材で構成されたフードを選び、そのフードを8週間継続します。そして、その間に皮膚症状や消化器症状の改善が見られたら、負荷試験へと移ります。負荷試験では、今まで食べていたフードや食材を少量ずつ与えます。そこで、もしも症状が再燃した場合は、そこで初めて食物アレルギーと確定診断できます。

このように、食物アレルギーの検査は長期戦なのですが、実は治療と診断が一緒にできる一石二鳥の検査なのです。

【治療】

食物アレルギーと診断さえされれば、その原因となるアレルゲンを摂取しないことが一番の治療になります。ただし、食べられる食材を増やしてあげることも、ご家族とワンちゃんにとっては大切なことです。そのため、除去食試験で終わりにせず、負荷試験で食べられる食材をチェックしていくことも、重要だと考えています。

 なかなか治らない皮膚の痒みや発疹でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事を書いた人

獣医皮膚科認定医 門岡友子

この度「めぐり動物病院 元代々木」にて皮膚科専門診療を任されることとなりました。
皮膚疾患は動物病院への来院理由でも常にトップ3に入る疾患です。
また、アレルギーや感染症、免疫介在性疾患、腫瘍など、原因が多岐に渡るのも皮膚疾患の特徴です。
そのため、皮膚疾患の原因を一つ一つ丁寧に紐解き適切な診断を行い、ご家族に寄り添った治療を提案してまいります。
ワンちゃんネコちゃんの皮膚疾患にお困りの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

経歴
・麻布大学獣医学部 卒業
・Vet Derm Tokyo 皮膚科第1期研修医
・ヤマザキ動物看護専門職短期大学 非常勤講師
・日本小動物ケースベースド情報ネットワーク(JCABIN)皮膚科担当講師